09 « 1.2.3.4.5.6.7.8.9.10.11.12.13.14.15.16.17.18.19.20.21.22.23.24.25.26.27.28.29.30.31.» 11

cinema

「武士の一分」 

武士の一分
監督 : 山田洋次
出演 : 木村拓哉 、 檀れい 、 笹野高史

毒見役くを務める三十石の下級武士・三村新之丞(木村拓哉)は、ある日毒にあたって命は取り留めたものの失明する。
一生を暗闇の中で過ごさなければならないと知った新之丞は、自ら命を絶とうとする。
そんな夫を妻・加代は「死ぬのならどうぞ。私もその刀で後を追って死にますさけ」と泣きながら夫にすがり、死ぬのを思い留まらせる。
加代は親戚に命じられ、番頭・島田藤弥の元へ口添えを頼みに行く。

やがて城から「家名の存続・家禄はそのまま。生涯養生に精を出せ」と寛大な沙汰が下される。

やがて親戚の叔母からの加代の噂に、妻に不信を抱いた新之丞は、中間・徳平に加代の後をつけるよう命じる。
徳平の尾行に気がついた加代は、「私はなんべんも死のうと思いました。だども、私が死んだあと、ひとりになった旦那様のことを思うと、可哀想で可哀想で」と徳平に胸のうちを吐露する。

新之丞に問い詰められた加代はすべてを告白する。
島田に口添えを頼みに行って、引き換えに体を許したこと。その後も脅迫されて会っていた事も。
殺してくれと泣き崩れる加代に新之丞は離縁を言い渡す。

やがて剣術の稽古を始めた新之丞は、師匠・木部孫八郎の道場を訪ね、手合わせを願いでる。
新之丞の気合に異常を感じ取った木部は助太刀を申し出るが、「一分」をかけた戦いを一人で挑むことを決めていた新之丞はこれを断る。

近習の仲間から、今回の処遇には、島田は一切口添えをしていなかったことを知り、島田との「一分」をかけた果し合いに臨む・・

--------------------------
夫をあいするがゆえに番頭の言いなりになってしまった加代。
愛する人のためなら、やはりどんなことをしても愛する人を守りたい、助けたいと思うのは誰も同じだろう。
私もかつてそういう思いをしたし、今でもその思いはある。

新之丞が自分のためとわかっていても、妻を手込めにされてまで今生きている自分を男として武士として、また夫として許せない気持ちも当然だろう。

また、尾行さえしなかったらと嘆く徳平の気持ちも痛いほどわかる。

それぞれがそれぞれを愛し、思いやっての苦しみ。
見ていて辛くて切なくて悲しかった・・

「卑怯は許さず」・・黙して語らず・・侍魂・・
やっぱり私はこういう男にたまらない魅力を感じる。
そんな夫を愛する武士の妻・・大和撫子・・
気持ちはとてもよくわかるし、こういう女性に憧れる。

そして、静かにひかえめに、だけど深く深くお互いを愛する夫婦の姿がたまらなく美しかった。

パンフレットにある山田洋次監督の言葉に
「幕末に大勢の欧米の知識人たちが日本を訪れ、数多くの見聞録を残しました。
それらの書物には『日本人は穏やかで、謙虚で礼儀正しく、その暮らしぶりは貧しくとも清潔であり、農村の風景の美しさにいたっては、ユートピアを見るようだ』と語られています」とある。
先日読んだ藤原正彦著の「国家の品格」にも同じようなことが書かれていた。

島田藤弥を演じた坂東三津五郎の言葉
「日本にしかないものは、日本人が大切にしないと、地球上から消えてしまう。だから、僕は日本にこだわります」

多くの人にこの作品を見てほしいです。

2006年12月1日


「武士の一分」公式サイト
スポンサーサイト
2008/04/29 Tue. 22:01 | trackback: -- | comment: -- | edit